ガイアの復讐

ガイアの復讐

ガイアの復讐

ヤバイヤバイ地球温暖化超ヤバイ!
地球温暖化によって生態系が変わる、ていうことは、今住んでいる環境自体が激変してしまうってことだ。海に住んでるプランクトンが死滅し、空気の組成すら変化してしまうということだ。極の氷が溶けるということは、海の水位が上がる以前に、太陽熱の反射が減るということだ。
武田教授の言うように、地球が温暖化すれば耕地面積が広がって脳卒中の人が減るなんてノーテンキな話ではない。たとえ地球が温かくなって耕地や牧場を増やしても、肥料で川が汚染されて環境が悪化するだけで人間が暮らしにくくなることに違いはない!
この本を読むと、地球温暖化がいかに危険で切実な問題であるかがよくわかる。


著者の、ガイア理論の提唱者ラブロック博士は物理学者であり医学博士であり技術者でもある。その主張は全てデータに基づいたもので(科学者なら当然なのだが……)、その焦り、その苦悩がひしひしと伝わってくる。


この本で面白いのは、ラブロック博士が原子力エネルギー推進派だということ。火力発電や水力発電よりも原子力発電のほうが安全で、ずっと強力なエネルギーを得ることができるということが数字で出されている。
実際チェルノブイリ原発の事故での死者は発電所を止めようとした勇敢な技術者や消防署員だけで、将来はともかく事故で直接死んだ人間は100人にも満たないという。メディアの伝える数字とはかなりかけ離れている。
それに万が一の事故で、放射能で汚染された地域の住人の寿命が数年縮むことくらい、CO2の温暖化で地球すべての人類が死滅するよりマシなのだ。
このあたりの話は核アレルギーともいえる日本の現状についていろいろ考えさせられる。もちろん核が兵器として利用されて、日本がその唯一の被害国であり、原発でひどい事故が起こってしまったというのはわかるけど、同時に核が現状人類を救える唯一の(代替エネルギーは、現在のエネルギー消費と同レベルで使うにはとても追いつかない)エネルギーであることは間違いない。しかし日本では、核アレルギーが他の国より強いのだろう。地震が起きて核査察されたとき、日本の原発放射線漏れをほとんど起こさなかったことを称賛されたのに、日本のメディアではわずかに放射線が漏れたことだけが報道されたのだから。
持続可能な撤退(地球環境を人間からガイアに返す)ができない以上、リスクとリターンを考えれば原子力に頼るしかないというのは、現実主義者(まっとうな科学者)のラブロック博士にすれば至極当然の結論と言える。


あとラブロック博士がケータイやインターネットのインドア関係の趣味を、CO2を消費しない趣味として推奨してたのがちょっと面白かった。イイじゃん日本の若者!
まあそんな感じで。環境対策はみんなで(世界で)やらないとなんの意味もないのだけど、人間のエゴがそうはさせないというのがもどかしいし、自分だけがよければ他はいいという考えも自分の中にはあるし、石油利権を巡る各国の政治的なかけひきもあるし、環境問題はなんとも難しい問題だなあと考えさせられる。
とりあえず山本会長と同じようにペットボトルはちゃんとラベルを剥いでキャップを外して洗ってつぶしてリサイクルに出すようにしよう。
一人一人がやることは偽善にすぎなくても、みんなでやればそれはまちがいなく善になるのだから。