小さき勇者たち〜ガメラ〜 感想追加

korohitiさんのとこにコメント書いたけど続けると長くなりそうなのと、ガメラのツッコんだ感想をまだ書いてなかったので書いてみる。
http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20060517/p5
ていうか書いてみたら自分でも面白かったので追加。
公開時の感想は褒めてるだけだしな。ガメラの本質を押さえてあるというところは間違いないと思うし、そこを褒めるのは別に問題ないと思うし変わらない。


まず怪獣映画としての盛り上げかたがマズイ、というのは唐沢俊一氏の日記(5日 http://www.tobunken.com/diary/diary.html)に書かれているとおり。正直言ってここだけでもしっかりしていれば怪獣映画ファンには喜ばれたのではないかという気がするので、そこがもったいないのだけど略。その怪獣映画ファンへのこだわりにきちんと応えたのが平成ガメラシリーズであり、そして結局閉じてしまった原因もそれだと思う。


まーそれはそれとしてせっかくなので透少年の立ち位置についてもうちょっとツッコんでみたい。


コメント欄では透少年ヒロイン説を書いてみたわけだけど、透少年はトトのともだち・相棒というよりはひたすら母親の立場にあると思う。
トトに自分の名前をつける、というのもそうだし、あくまでもトトは子供であり、それが大人になったとたんに別れざるをえないというのもそうだし。


大人と子供の対立とそれを乗り越えることがジュヴナイルとしての定義だとすると、『E.T.』と比べた場合、一番違うのはトトの願いと大人側の願いが一致している点が大きく異なる。どっちもジーダスと戦いたい、というところがE.T.とはまるで違うし、少年はトトをジーダスと戦わせたくない、でも戦うなら勝って生きてほしい、という中途半端な立場なので、大人との対立は成立しようもない。


そういう意味では対立→成長、という描写は脚本段階でもうやりようがなかったのではないかと思う。父親は父親で先代のガメラはありがたいと思ってるし、トトにも死んでほしくないと思っているけど、別にトトを戦わせたくないと思っているわけではないし、第一に心配しているのは息子の透の安否なので、トトのために危険に飛び込もうとする息子との対立は弱い(ていうかない)。逆に父親が積極的に透を応援する立場というのもなんか違うし。
最終的にはリレー参加者含めて誰もトトが戦うことに反対していない、対立する点がないというところがドラマとして弱い原因なのではないかと。これは結局怪獣対怪獣を描くガメラ映画としてのシバリなので、そこにファミリー映画らしく亀と少年の交流をくっつけようとしたときどうしても付随する難しさなのかもしれない。


ついでに言えば透少年の母親が死んでいる、という設定もたいして生きているようには思えない。別に透少年は母親が亡くなっていなければ亀を飼わなかった、というふうには見えないし。父親もガメラの自爆を目撃しているからこそ透少年の気持ちがわかった、というわけでもないような気がする。亀に自分の名前をつけて自分が母親になることと、母親のいない寂しさを亀で紛らわす、というのは違うように思う。
あとヒロインがまるきり役立たずで石を名古屋に持ってく理由としてしか物語に関わっていない、というのはどうなのか。せめて赤真珠の力の効用を見せる程度には描写の役に立って欲しかった。


まーいろいろ書いてみたけど、なにかしら好きなポイントがあれば他の多少の欠点に目をつぶれるのは当たり前なのでまあ。嫌いなところをたくさん挙げられる人ほど好きって言うしな!(という定義でいけば井上アンチなんて『浅すぎ』てさ!)


ただオタク向けに閉じてしまった怪獣映画を、あらためて少年少女向けにリニューアルしようという意欲はもっと評価されるべきだと思う。そこであえて『ベタ』なジュヴナイルにするべき、というのはもっともな意見だし、そうしていたらまた違った評価を受けていただろうことは間違いないだろう。個人的にはジュヴナイルというのを捨てて、まるきり昭和ガメラノリでもいいと思うけど、同じことが出来ないというのは時代の問題なのかな。
まあ『好き』に理屈をつけるのは他人に向けてのものなので、そんな感じで。


ファミリー向け映画としては『妖怪大戦争』より良作だと思うのだけど、やはり芸能人コスプレ大会としてお祭りに割り切った(もちろん神木隆之介三池崇史が巧かったというのはある)妖怪大戦争のほうが興行収入が良いというのもわかるんだよな。せっかくガメラという名前をタイトルから外したというのに(ファミマで「ガメラ」の前売り券くださいと言ったらレジのお兄ちゃんがわかってくれなかったよ!)難しいねえ。


それはそうとケヅメリクガメ虐待疑惑はまだ話が続いてるようですねー。TBももらったし。
http://blog.goo.ne.jp/gameraishi/e/9c256071fda95a0c00cdda3ba281bf38
うーん、虐待自体には反対ではあるけど、映画の虐待疑惑を追及している「リクガメを考える会」がなんかアレな感じがして素直に賛同出来ないというか。
あと前書いたとおりそんなに爬虫類に関して思い入れがないのですね。極端に言えば自分のところにいるのにしか愛情がないというか。映画の内容と関連づけて考えてないというか。そういうのは人としてどうかと思うけどさ。人としての余裕の問題なのかなあ。愛情のリソースが足りんのかもしれんね。