嗤う日本のナショナリズム
- 作者: 北田暁大
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2005/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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それとちょっと関連してこんな本を。70年代から2000年代に至るまでの日本のナショナリズムについての考察。
序章として2ちゃんねるの「電車男」や窪塚洋介の「狂気の桜」を使い、つかみは上手。連合赤軍のくだりからいきなり社会学の本らしく難しくなるけど、糸井重里、ナンシー関といった有名所をネタにうまく考察し、最後は2ちゃんねるの話でまとめる。
著者の人と同世代なので80年代以降のテレビ話や、その社会的影響のくだりなんかはうなずける部分も多く、面白かった。
2ちゃんねるにおいて、嗤いが批判的アイロニーとしての昨日を喪失し、内輪空間の<繋がり>のためのコミュニケーションツールになっているという指摘は鋭い。「アイロニズムの果てのロマン主義」なんていきなり言われてもわからないかもしれないけど、読むと納得できるぞ。やっぱり時代の空気というのはあるものなのだな。
単純に2ちゃんねるは右傾化している、なんて幼稚な議論はつきあう価値もないけど、こうして相対化して見ていくのはけっこう好き。
斜めから見る、となるとそれは2ちゃんねるの内部のように、「ネタとしての嗤い」になってしまうけど、自分はだんだんそれにも飽きてきているような気がする。もちょっと前向きに行きたいな。と思うのは実生活があんまり前向きじゃないからかなー。