電波男

電波男

電波男

読んだー。本田透氏は猫を飼うべきである。

面白いのだが本田氏のように生きるというのは、のは本田氏と同じ体験をしない限り無理なのではないか。というのも天涯孤独の身の上で、オタク関連の仕事をして暮らしている人間はそんなにいないから。たいていの人は秋葉原なんてテレビで見るだけの町で、周りの人間が結婚するから俺もしないとなーという状況なわけで。たとえアグレッシブにオタクを選択しても、なかなかそれを貫けるものじゃない。

それ以前に、人間の精神が血の通った肉体の中に閉じ込められている限りは、身体的な快楽を求める心からは逃げられないと思う。本編でもおっぱいは3次元のほうがいいと正直に告白しているし。
そこであなた抱き枕ですよ。猫ですよ。これで護身完成ッ!
皮膚感覚で精神が安定するというのは心理学的にも証明されているし、政府広報じゃないけどスキンシップは大事なのですよ。


女性論、男性論の部分はよくある他の男女論本で言い尽くされている感もあって、ああそんなもんだよなという感想しか持てなかったりして。
女性は自分を一番に思ってくれる男性がよくて、男性は簡単にやらせてくれる女性がいいのです。生物学的に一つしかない卵子といくらでもばらまける精子の話に男女論が集約されると思うのは俺が竹内久美子のファンだからなのだろーか。


この本の書評で面白いと思ったのはシナリオライター高橋直樹氏の感想で、この本が30過ぎのオタク向けというのは的を射ていると思う。
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20050429#p3
20代でセックスよりも、本田氏のいうような純粋な恋愛を優先しろといっても無理なのではないか。と思ってしまうのは自分がもういい年だから?


結局のところ本田氏は(というより自分も?)、「家族」を求めているように思えるのだがどうだろう。肉体的な快楽を享受できなくなったあと、それでもアグレッシブにオタクを選択していた、「護身」であったと自信を持って言えるか?といえば自分は言えないと思う。
年をとってから「なんとなく結婚できなかった」というのは後で「結婚しないことを選択した」というふうになってしまうのはいい年のオタク(と負け犬女?)はそろそろ見えていると思うのだけど。

自分は基本的に保守的な考え方なのでアレなのだけど、子供を作らないことが幸せであると言われてもイマイチピンと来ない。基本的に人間も動物も繁殖で幸福を得るのではないか。
その点でオタクの生き方・ほんだシステムは自然と社会が拒絶せざるを得ない。本人もさすがにわかってて書いてると思うけど。
もしかしたらこれがオタクが社会に受け入れられない本質なのかも?


さてこの本は本文が「しろはた」で書いてる文体そのままで抵抗のある人はいると思うけど(文体だけで本編を評価する人はオカシイよね)、普通の文体で書かれているあとがきから先に読めばまったく印象の違う本になると思う。というより自分はこのあとがきは反則だと思ったよ。ピエロが楽屋を見せるようなものだ。
で、これで(本田氏が望まないにしても)同情を感じない女性は女以前に人としてダメだと思う。


感想はこんな感じ。面白いって感じるのは引き出し多いからなのかな。


それはそうと

今は性欲よりも家政婦や秘書が欲しいんだよっ。世話を焼いてくれ! 面倒をみてくれ! 自分で自分を管理するのに疲れたんだよっ!

「自立した個人」であることの重荷を誰か代わりに背負ってくれないか。それが性欲と入れ替わりに台頭してきた欲求だ。

http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20050430#p2

というのを20代から思ってた俺はダメ過ぎかも。
つーか欲しいのはメイドなぞではなくてですね、気のつく奥さんでもなくてですね、PINSIZEの同人誌の「峠のメリーさん」みたいになりたいのが本音。なんか自立した個人以前の話だな。
わかるひとだけわかって。