ETVワイド ともに生きる 6月 子ども虐待

http://www.nhk.or.jp/heart-net/wide/
こういうのを同日に書くのもどうかと思うけど観てしまったので。
奥さんがたがスタジオで子育ての悩みを切々と打ち明ける番組。石田衣良の声がセクシー。
虐待は連鎖する。ちゃんと愛情を注がれなかった親が、自分の子供に同じように接してしまうというのが見えて目が離せなくなる内容。


カウンセラーの人の「自分の正当な怒りをちゃんと表出させることが必要」っていうのは本当に大事だと思う。
父親から虐待されていた人の話で、「私の父親は完璧主義者で、勉強のとき消しゴムのカスを机の下に落としたらそれを食べさせられ、1日水をコップ3杯に制限され……」っていう話があって、それって完璧主義者どうこうじゃなくて、単なるイジメだろう!サディズムだろう!虐待だろう!と思うのが普通だ。それが「完璧主義者だから」になってしまうこの不条理。この異常。子供は親を選べないし、それがその人の価値観になってしまう。自分が悪いと思ってしまう。
そんなわけはなく、親がまちがっているに決まっている。おかしいに決まっている。でも本人はそうは思っていない、自分が悪いからと思い込んで、そのまま「親」になってしまいそれをまた子にぶつけるのだ。そんなのおかしいじゃないか!


先週他人の不幸に興味を持つ自分はなんなんだろうって書いてたのは、ぶっちゃけこういう話を熱心に聞いてしまう自分はなんなんだろうっていうことを考えてしまうんだよね。
「凍りついた瞳」という児童虐待を描いたシリーズがあって、一時期熱心に読んでたんだけど、それをなぜ読んでるのかと言われると返す言葉もないという。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_gw?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%93%80%82%E8%82%C2%82%A2%82%BD%93%B5


番組には父親から性的虐待にあった人も出演してて、自分の娘にはスカートもはかせないし、父親におむつも替えさせないという。それどころか、自分の幼少時には考えられなかった無防備さに嫉妬すら覚えるという。
たしかに当人にとっては深刻なトラウマだ。でもその性的虐待の話を熱心に聞いてしまう自分はなんなのか。女性の不幸はもしかしたら男性には絶対に理解出来ないんじゃないかという気さえする。理解できないだけならいいけど、それで人の一生を台無しにすることはしてはいけない。頭ではわかっているけど、それは頭でわかっているだけにすぎない。自分は男性だけど、自分自身も信用できないところがあるし。
だから「オタクだから女の子を守ります」なんて、ちゃんちゃらおかしい。一番女の子から離れている人間が、本能に勝てるのか?そこで「オタク」をアイデンティティにして自分を抑制できるのか?
2次元にしか興味がない、とは男オタクがよく言うことだけど、そんなものはイイワケで男はみんな狼だと思うなあ。2次元で発散するから大丈夫なんて決して言い切れないし、イイワケになんかなるわけないのだ。


トラウマっていうのは通常の記憶野に記憶されるのではなく、直接海馬に「刻まれてしまう」ものらしく、まさに心の、脳の傷であるそうだ。

心を殺された私―レイプ・トラウマを克服して

心を殺された私―レイプ・トラウマを克服して

だから自分でいくら忘れようとしても忘れられず、抑えようとしても記憶は時と場所を選ばず勝手に再生し続ける。それが人格形成の段階で起こるのだから児童虐待は許されざる罪なのだ。


あとこの番組に出てた面々はみんな核家族で、誰からも助けを得られなかったというのも気になるところ。戦後の日本はあらゆるものを解体してきたけれど、それに「家族」が含まれていたのは紛れもない事実だと思う。
今の大人が大人らしくするには、大人のためのロールモデルが必要になるのだろうか?