仮面ライダー電王 ファイナルカット

ファイナルカットだけどまるっきり印象が変わらない……。ということはもともとカットされた部分が少ないということなんだな。まあそれはそれで良いんだけど。
ちなみに印象が一番変わったのはカブト。劇場版でガッカリした人はぜひ観るべき。劇場版はダイジェストだから!


電王はTV版すべての感想も劇場版もまるっきり同じなのは、脚本家が同じだからというより、TVの一エピソードとして作られたせいもあるんだろうな。TV版が劇場版と別世界だってイージャン?同じもの観てもしょうがないと思っちゃうんだけど。でも作り手側がこういうふうにしているのも、電王という作品の消費のされ方を計算してのことなのだろう(後述)。


とりあえず感想。
今回の敵役の牙王のキャラクターとしての弱さから。
劇中ではなぜ神の路線を求め、時間を消そうとするのかがまったく描かれていない。TVシリーズの悪役と同じく、「悪人」という記号に留まっている。演じた渡辺裕之自身はバックグラウンドについて考えて演じたそうだけど(当たり前だが)それが見えないのでは魅力もなにもあったものじゃない。劇中ではなぜ神の路線を求め、時間を消そうとするのかがまったく描かれていない。TVシリーズの悪役と同じく、「悪人」という記号に留まっている。TVシリーズのイマジンたちと同じく、人間として描かれてない「キャラ」なのだ。だいたい牙王=最年長ライダーという要素はシナリオ段階で考えていてかったんじゃないか?というのも、良太郎初めて牙王とあったときの、「キミ、だあれ?」と良太郎のセリフ。10代の人間が40代の人間にキミよぱわりはないだろー。ただの食いしん坊なら別のキャスティングでも良いよね。脚本も直さなかったのか……。
単なる食いしん坊の悪人「キャラ」だけでは、牙王という「キャラクター」に魅力がないのはどうしようもない。ついでに言えば「圧倒的な強さ」という魅力があるわけでもない。


同じく限定のウイングフォームも別段スゴイというわけではないし。倒したのが普通のイマジン一体だけなら他の電王フォームと変わらない。おまけにTVとの連携のおかげで劇場限定ライダーですらなくなってしまった。ウイングフォームってぶっちゃけ色が白いだけでそんなに強烈な特長があるわけじゃないんだよな。空飛ぶくらいやっても良さそうなものなのに。登場しても「こいつなんのためにいるの?」っていう疑問をひっくり返すほどのカタルシスがあるわけでもないし。(ていう以前にTVででてたし)
どうせなら他のライダーのピンチをひっくり返すくらいしても良かったと思う。背中斬られて退場というのもなんかマヌケだ(背中を襲う牙王も卑怯、というより牙王が弱そうに見える)。
ついでに言えば毎年恒例の「最強フォームお披露目」もなくなったのは残念。TV連動の弊害か!


「伝説の列車」も何がスゴイのかよくわからない。だいたいあの世界の列車が何者なのか、設定的な部分は最後までほったらかしなので、ヘンな酋長で雰囲気出すしかなかったんだと思うが(誰のアイデア?)。TVシリーズだってもちろんそうだし、これって「井上の投げっぱなし」どころの話じゃないと思うんだが。
あとシナリオを一人で進めちゃう「なんでもわかってる侑斗」はー。


それとどうせなら小太郎関係の描写ももうちょっとふくらませられたかも……。終盤はなんのためにいるのかわからんし。子供サービスのために出したのなら、電王のピンチを助けるとかしても良かったんじゃないかなあ。倒れた大人良太郎を応援するだけでも燃えたと思うんだが。
「立ってよ!僕は大人になっても弱虫なの……。変身しても誰も救えないの!父さんも、母さんも!誰も助けることができないの!」みたいな。違う作品になってるな。
TVシリーズの「契約者」と同じく、話のツマになっているのが残念。


うーん、なんか悪口になっている……。まあいいや。