世界屠畜紀行

世界屠畜紀行

世界屠畜紀行

タイトルどおり、世界の屠畜場や屠畜の風習を巡る体験記。もとは「部落解放」という雑誌に載ってた連載だそうだけど、内容は差別問題などにはあまり触れず、普段見られない(先進国では「見られなくなってしまっている」)、家畜を殺し肉として市場に並ぶまでの工程や、家畜を殺して神に捧げる犠牲祭なんかの様子が雰囲気のあるスケッチ(写真は撮らせてもらえないところが多い)でわかりやすく紹介されている。
業界体験記や世界旅行記の類ではあるけど、先進国ではタブーに触れる部分でもありどうどうと語られにくいジャンル。だからこそ純粋に体験記として面白い。(世界で使われる意味での)宗教心のない日本人だからこそ書けた本なのかも。
もちろん日本の事情もちゃんと描かれてて、BSE検査を初めとする食肉管理がいかにきちんとしてるか、職人さんたちがいかにがんばっているのかを知って考えさせられるし感謝したくなる。肉は毎日食べているしね。
ちょっとボリュウムはあるけどそれだけの内容はあって読みごたえ十分。お肉好きな人にオススメの本。