萌える男 (ちくま新書)作者: 本田透出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/11/07メディア: 新書購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (183件) を見る

こっちもゲットとらのあな
前半は「電波男」のちくま新書版焼き直しかと思ったけど、後半の家族論あたりからぐっと面白くなる。ていうか本田透見直した。やっぱり愛だよな愛!個人個人がモテない理由なんてどうでもいいぜ!


個人が萌えを追求することで、人と人との関係性が失われていく弊害は「電波男」よりもシリアスに語られていることや、今回は恋愛論だけでなく、その先にある家族(それも非常に保守的な)の再生まで話が及んでいるのを読んで、非モテの星として本田氏を崇めていた人々がどう思うのか気になるところ。
非モテを「演じ」恋愛を否定しつつ、人一倍恋愛に囚われているような非モテは、女性から見るときっとみっともないだろうし、本音を突かれてキレるのは最低だ。
しかしそういう女性に対する直接的な処方箋を本田氏は用意しない。意図をくんでもらうにはこの本を読んでもらうしかないのかもしれないけど、それは難しいよなー。そういう意味では新書にありがちなハウツー本にはなってはおらず、論文に近い。


難点を言えば本田氏の女性の好みがきついタイプなので、そういう女の子にキモがられても「女の子の趣味の問題では?」になっちゃうところと、実際に家族のいない(両親も奥さんも)本田氏の「家族論」にどれだけの説得力があるか?というところか。それだからこそ家族論にこだわっている、というふうにももちろん読めるわけだが。


結局今回のキモの「萌え」と「家族の再生」の連携は、非常に興味深いし面白いけど、本田氏自身もまだつながりを模索しているという印象を受けた。しかしこれは読者に向けられた宿題と受け取るべきだろうか。
女性が読んでどういう感想を持つのか気になるところ。恋愛資本主義以前に、どこか完全にすれ違っている部分があるような気がするけど……。


ところで生物学的な視点で見てみると、モテる男がいろんな女の子に手を出すのも、女の子が容姿がよかったり経済力のある男を求めるのもそれなりの理由があるわけで、いくら豚の交わりと言われても生物の本能からしたらそんなに外れたことでもなかったりする。そもそも本能に従うことは気持ちが良いことなので、個人的にはそれを否定するところまでいかないな。人間が肉体に囚われている以上本能からはたぶん逃げられないと思う。
あと人間は「知」だけで恋をするわけじゃなく、ワニの脳(本能に関わる部分)で好き嫌いが決まっちゃう部分もあるので、そういうのはまた別の話になるのかな。
ワニはいかにして愛を語り合うか (新潮文庫)