「個と公」論―新ゴーマニズム宣言SPECIAL作者: 小林よしのり出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2000/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る

長時間電車乗るので積んでた本を消化。

ちょっと古いけど「戦争論」第1巻への言論界からの批判に対して、マンガではなく言葉で反論していくという内容。

野坂昭如福田和也宮崎哲弥吉本隆明宮台真司と言った面々の主張を次々に論破していくのが気持ちいい。インタビュアーもこれらの人々のアラを徹底して探して突いてきているのもすごい。自分などは単純に一冊の本の中で言うことが変わっていてもぼんやり本を読んでいると気がつかないことも多かったりするわけで。言論人の言葉の曖昧さに気づかせてくれるだけでも十分面白かったり。


言論人の言葉が、全て他人の言葉の「解釈」であるというのに小林自身もはまっているような気がしないでもないが、それでも俎上に載せている言論に対しては小林のほうが正しいと自分には思えた。というより俎上に載せられている言論人の言葉はやはり「裸の王様」と言われても仕方ない空理空論なのだ。それを「戦争論」が暴いたインパクトはやはり大きかったと思う。さすがに911以降はこれらの人々の言葉も変わってきているとは思うけど。いまだに「攻められたら謝っちゃえばいいんです」みたいなセリフを吐く人は少ないと思う。
ていうかこの本で宮崎哲弥をボロッカスに言ってるけど今は「わしズム」に書いてるし。


戦争論は2巻以降、テロ賛美というレッテルを貼られてミソをつけた感があるけど、テロに対する認識の違いは現実に立っている読者とオピニオンリーダーであり続けなければならない小林の差か。理想を語らない人物に魅力はないのであって、ラベリングされるのは単に表現の失敗なんだよな。
それを認識した上でなら氏の主張はうなずけるものだと思っているけど。アンチはみんなそれに気がついた上で批判しているんだろうね?