今週の「正論」欄

http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm

 米国の良識は信じているが、仮に将来、民主党リベラル系の大統領が登場し、議会決議などを手掛かりにして、請求権を放棄したサンフランシスコ講和条約の解釈を見直そうという機運が出ないとも言い切れない。それは日本の「反日」感情と通底する。

 実は、衆議院の解散とともに廃案になった「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」に私は不審の念を抱いている。

 「戦争被害調査会法を実現する市民会議」という名の市民団体が十年ほど前から運動を続け、与野党の政治家を動かして国立国会図書館内に恒久平和調査会を設置し、「『従軍慰安婦』、化学兵器・細菌兵器の犠牲者、強制連行・労働、捕虜虐待、旧植民地出身の元軍人・軍属被害者」などの調査を行おうというのである。市民会議は「被害者は日本政府の公式謝罪と個人補償を求めて訴えている」と明言している。

 この市民会議の働き掛けで九八年には「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す国会議員連盟」が発足したが、その際に同会議が作成した戦争被害調査会設置法の早期制定に関する請願紹介議員の一覧表を見れば度肝を抜かれる思いがする。衆議院議員九十八人、参議院議員三十五人の顔ぶれの最多数が民主党議員。それに公明、共産、社民の各党議員が続々と顔を並べているではないか。

≪日米同盟反対論とも連動≫

 議員の中には大物政治家が少なくなく、二大政党の一つとして政権を担うのだとの抱負をあちこちでぶっている。仮にこれらの人々が政権の座に就いたときには、戦前の日本の「悪業」を暴き、国の懐から巨額の補償金を支払うつもりなのであろうか。事の本質を知らずに名前を貸した人々が大多数であると信じたいが、問題は軽くない。

民主党って結局は…!