第2回「編集の鉄人〜本日の素材は岡田斗司夫」

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◆第1部「公開!会社別岡田斗司夫本編集会議」
  ●イーグルパブリシングアキハバラ岡田商店、本日開店!」
  ●三才ブックス王立科学博物館 THE ROYAL MUSEUM OF SCIENCE Exhibition Catalogues」
  ●T社「オタク・イズ・デッド
◆第2部「岡田斗司夫+鉄人会議」

このイベントは18:30スタートなんでいつもアタマが観れないんだよなー。
しかしながら人の入りはイマイチで席に困ることもなく。来場者はだいたい50人くらい?


第1部は現状報告。
一番手は三才ブックス村中氏。
三才ブックスの企画のほうはかなり順調に進んでいて、真っ白い実際の商品のサンプルを持っての来場。フィギュア付きのムック*1という形態で、900万円という印刷見積もりや、フィギュアを入れるパッケージの紙質や型の検討など、業界の裏側が覗けちゃう内容で素人にはへええと感心することばかり。


フィギュア一体200円の海洋堂との折衝の話はなかなか興味深かった。戦車は多少歪んでたり塗装がズレても味で済むけど、宇宙機は歪みもなく、塗装も正確にしないといけないのでどうしてもコストが上がる。だというのにこれを光らせるというアイデアも進行中で、現在は中国からの見積もり返事待ちとのこと。


あとは本に使える図版が一枚1万5000円くらい*2を見込んでいるとか、残りの予算でデザイナー費用を出すとか、出張費は他の会社の用事と込みにしてやれば落ちるとか。
総額で訳2000万円という予算をいかにやりくりするか?を考えつつ順調に企画が進行していて、トークとしても面白かった。ここで結構時間かかったので一時休憩。


再開して次はイーグルパブリッシング。
しかし藤森社長は当日腰痛でドタキャン。編集者は腰か胃か心を病んで一人前と言うけど……という話に。実際打ち合わせのほうは全然行われていなくて、進行もなかったらしい。
アキハバラ岡田商店の企画をやるなら、ロフトプラスワンでゲストを呼んでテーマ別7番勝負(仮想商店のフロア数)みたいなトークイベントをやって、それを起こしたほうがはやいんじゃね?という話で終わり。


次はT社の大久保氏。
前回鬱病で休職する、という話で終わってたけど、今回はいきなり薬持参&手のひらサイズのモバイル仏陀を持参しての登場。
現状報告をするも、なんと5月からずっと休養中で現在もまだ復職していないという事実が明らかに。入院を勧められたけど見学した精神病院のあまりの惨状に恐れをなして自宅療養に切り換えて現在は順調に回復中とのこと。T社は牧場を持っているのでそこで療養すれば?という話もあったけど医者が止めたらしい。
ここで入院前に覚悟を決めて撮ったメッセージDVDの上映。ごめんなさいメッセージのあまりの面白さに場内大ウケ。大久保氏が妙に卑屈だったり別れた奥さんから途中で電話がかかってきたり、なぜか撮ってる場所は唐沢俊一オフィスだったり。今回はここが一番ウケてた。


ということで結局企画のほうはとても会社に持って行ける状態ではなく、会社の方針も現在はタイアップ本やアイドルものと言った楽に稼げるもの作る傾向になっていることもあって、「オタク・イズ・デッド」の企画はT社では無理。
ということでフリーの編集としてどこかへ持ち込んで出版するという話に。ここでゲストトークが終わって客席で飲んでいる三才ブックス村中氏にオファーして「いいっすよ」と即決。三才ブックスから出るかも?
オタク・イズ・デッドは「文化の死に立ち会った瞬間」という文明論的な方向でまとめるか、古いオタクの輝かしい時代をセンチメンタルに語ったものにするか、で二つのまとめを考えているそうな。
でもってこの時点でこの企画の鉄人という企画自体が破綻してしまったため、藤森社長も不戦敗ということになって優勝は三才ブックスの村中氏に決定。というとこで第1部終了。



第2部は客席にクラッカーが配られて表彰式。今回でシメという算段もあったんだろうねえ。
10万のはずの賞金は3万になったりしてどうにもどっちらけな終わりかた。結局編集は体力勝負という話に。村中氏にしても、結局これ以上続けても別にライバルが出てくるわけでもなし、後は予算をやりくりして如何にクオリティを下げないで完遂するか、という面白みのない作業になるのでここで終わったほうが良かったらしい。


ということでラストは次の企画の話やら売れる本って何?みたいな雑談トーク。NHKは地デジ時代に備えてライブラリを作りだめしたがっているとか、それに合わせて王立科学博物館の本売りこめねえかなあとか。長井秀和はSだから売れるんじゃね?とか。Sはやっぱり本の流通上強いらしいぞ。
あと女性オタクの代表を誰か立てられないかとか。裏ボスはCLAMPで決定だけど、そのお墨付きで2代目栗本薫をだしたらよくね?という話に。押井守の娘が今度乙一と結婚するからなんとかならないかなーみたいな話も。


次の鉄人は打診してある唐沢俊一になるかも?ということで是非主著を書かせてみようという話が出たり、せっかくだから岩波や講談社の編集者を連れてこれないかという話も出たり。
そんなこんなで21時45分くらいに終了。


全然関係ないけどライブ中最前列でやたら演題に話しかける男がいて、アレだなあと思ってたけど、終わった後大久保氏と話してるのを聞いたら鬱病入っているらしく。ああなるほどイベントなんかでときどき居るアレはクスリの作用なのかと納得した次第。鬱病は怖いなあ。

*1:雑誌だと本屋に問屋が配る形になるので普通の本より営業が楽だそうな

*2:写真を管理するライブラリ会社があってそこにお願いすることになる

 コメント返信・コミケの話つづき

誤解があると困るのですが、別に僕は徹夜を肯定しているわけではないです。ただダメダメ言って問題が解決するわけじゃないので、そこをスルーしてセーフティネットの話を書いてたので、そのへん誤解させてしまったなあと思いますが。つーか昨日のは雑に書きすぎたと反省。


ただ徹夜はダメだよ、と言ったときにピンと来なかったのは、徹夜で問題が起きてコミケがなくなったら困るでしょ?という理屈を言われても、逆に言えばコントロール出来るうちは問題にならないよ、という言い方もできちゃうということが一つ。中二病かよ!だけどこれが現在の状況ですね。
それと徹夜組のおかげでサークル参加費が高くなった、とカネの話をしてしまうと、カタログを買ってる徹夜組も警備代を負担してるからいーじゃんという理屈もアリになってしまう。これがカネの話。
金に拘るなら徹夜組を収容する場所を用意することで、警備代を減らしサークル参加費が1000円下げられるとしたらどうか?ということもちょっと考えてみたりするわけです。
ぶっちゃけ企業や大手に並ぶ徹夜組がいても、普通の自分のサークルに関係ないならなぜそんなに怒る?ってとこが自分が一番わからないとこかもしれません。


korohitiさんが『イベント』そのものを大事に思う気持ちと、徹夜組の『販売物』が欲しいって思ってる気持ちの重さは変わらないような気がするけど、多分そこは分かり合えないんじゃないかと。どっちが正しいかというのは言うまでもないのですが。
コミケを存続させるために一晩徹夜して下さい、となれば徹夜する?というのは逆転の発想。


あと自主イベントの話が出たのは、たとえばコミケにサークル参加する理由が単に同窓会や惰性なら別にコミケはサークル参加じゃなくてもいいんじゃないの?と思ったからですね。買い物のためのダミーサークルは論外ですが。


同人誌だけの人は多分知らないと思うのですが、ガレージキットのイベントは、自由にモノを作って売れません。正確に言うならいわゆる著作権が他にあるものは、ワンフェス他いくつかのイベントでしか売ることができません。ガンダム関連なんて、年に1日だけ、しかもバンダイがラインナップしてないモノしか売ることを許可されません。これがWFがダメならGEISAIに行けない理由です。オリジナルを作ればいーじゃんと言われても、オリジナルで勝負する人が少ないのは同人誌も同じ。
そんなガチガチのガレージキットの世界に比べると同人誌関連はなんと自由でイベントを興すのが容易なことか。なので参加理由がヌルい人や、現状のコミケに不満がある人は、コミケがなくても自分でイベントやればいいんじゃね?と思ってしまうわけですね。若い人にチャンスも譲れるし。こういう考えは単にワガママかもしれませんけど。


こういう発想なのは自分がWFに出てた時はウケ狙いでギラギラしてたせいもあるかもしれませんね。それはそれで楽しかった。自分は機会があれば『イベント』そのものにはそんなに執着はないんですね。逆にいくらでも売るチャンスがある同人誌の人が、『イベント』に執着するのがわからない。
ただ自分が売り手なら、余所に興味なくなるのはわかります。サークル参加してたときは始まってから1時くらいまで机にベッタリだったし。会場を半分まわっただけで終わりってことも多かったし。


ただイベントがなくなったら困るでしょ?と言えば困るけど、WFみたく一回中止になってもそんなに変わらないっていうのを経験してしまうと、コミケも一回くらい中止していろいろ見直ししたり頭冷やしてもいいんじゃね?と思いますね。現状のコミケの問題は、今のままならおそらく解決しません。オタクが変わった・死んだからと言っても新しい人はこれ以上増えないし、古い参加者はがんばり続けるでしょう。けど古い人たちが懐かしむようなコミケにはもう二度と戻らないし、リスクがリターンより大きいならあえてコミケだけに執着しなくてもいいような気がします。


そんな感じです。