映画フレッシュプリキュア! おもちゃの国は秘密がいっぱい

初日だけどもうバレありで。


さて待望の映画版、個人的にはいまいちだった。理由を考えてみると3つ。
プリキュアたちがピンチにならない。
・おもちゃたちの行動と動機に納得できない。
・「癒し」の描写に納得がいかない。


1つ目、プリキュアが個別に分かれて戦う、というのは5とGoGoのときにやっていて、どうしても比較してしまう。こちらはそれぞれピンチに陥ったとき、仲間との絆をきっかけに逆転するところがカタルシスだったのだけど、今回は特にそういうこともなく、個人の力でなんとかなってしまっている。単純にパワーゲーム的な面白さがないのも物足りない感じ。
クライマックスのシーンでの強制的な変身解除というのも初めてだけど、そこでピンチの描写があるわけでもない。


2つ目、おもちゃの国は捨てられたおもちゃ達で作られた国だけど、実は子供っておもちゃは捨てないのだ。ただ忘れてしまうだけで捨てているのは親だ。(飽きたおもちゃを自分で燃えないゴミに出してる子供っているか?)なのでおもちゃ達が自分を捨てた子供に恨みを持つ……という話はいまいちピンと来ない。
そもそも捨てられたおもちゃが恨みを持って……となると(ファンタジーというよりオカルトじみた感じだが)、じゃあいつ捨てれば良いのか?どうなればおもちゃは成仏するのか?ということになるが、これに対する回答は劇中で描かれない。
とりあえずエンディングでバザーの描写はあるが、それも結局は捨てることを他人にさせているだけのような気がする。


だいたい毎年新しいおもちゃを買ってもらわなければ成立しない商業アニメでこのテーマを描くって言うのが、もうすでに消化不良な感があるんだけどどーなんだろう。
もし同じテーマをティム・バートンが撮ったら……とか考えると、そっちのほうが面白そうな気がする。
そんな感じでトイマジンたちの行動理由に納得がいかなくて話に入り込めなかった、というのがいい評価しない一番の理由。


さて今回の映画版はシリーズ構成の前川淳が書いてるのだけど、テレビシリーズでも前川脚本て面白いと思わないんだよね。そう考えてしまうのは脚本家の「男」がかいま見えてしまうせいだと思っている。
たとえば前川脚本の23話のピーチとイースのバトルは「戦ってわかりあう番長バトル」*1
だし、今回の映画でも「プリキュアとしての責任」を問うシーンがあるけど、個人的にはなんか微妙に違和感があった。
ということで3つ目、今回の映画のミラクルライトの描写は、「悪くない子供たちはこれだけいるよ」という『数量的な』説得なんだけど、これで相手が納得するだろうというのはやっぱり男の理屈であって、それで本当にいいの?というところがひっかかった。
キュアエンジェルの不思議光線のビジュアルで盛り上がってるからいいじゃん、という人もいると思うし、そこが演出の腕の見せ所なんだけど、そこまでの話に共感を持てなかった自分としては、なんか納得がいかないで終わってしまった。


個人的なアイデアとしては、キュアエンジェルの力でトイマジン本体に過去を見せて、捨てられたというのが誤解だった、というオチにした方が納得できるんだけどどうでしょう。ラブとウサピョンの描写でそれを描いてると言えばそうなんだけど、どうにも間接的でトイマジン本体の話と結びつかない感がある。
というかはじめからトイマジン=ウサピョンとしたほうが、もっとストレートでグッとくる話になったと思うんだけどなあ。トイマジンの正体なんて、サブタイトルにあるような「秘密」ではないと思うのだが。
「癒し」をクライマックスで見せるのであれば、やっぱりテレビシリーズでいい仕事してる成田良美とか伊藤睦美といった女性脚本家にやって欲しかったなあ、というのが正直なところ。


今回の映画はこんな感じで。
オールスターDX2はほどほどの期待。前回で男のプリキュア映画としては極めてしまったので、今度は女のプリキュア映画にしてほしいところ。
今までちゃんとした感想を書いてないDXの感想もそのうち書いてみたいなあ。観た回数分の角度から書けるよ。

*1:なかよしの上北ふたご版のほうは「相手を受け入れる・共感」を全面に押し出していて、女性的な感じ