岡田斗司夫の遺言 番外編
又の名を「岡田斗司夫の『寝言』」シリーズ堂々開幕。
今回は遺言シリーズと違ってレジュメの内容もぐっと減らして、やりたいことをやりたいようにやってくという趣旨。
前半は将来の夢はドームでトークイベントをやりたいとかマンガ夜話のハチクロの回でうまくいかなかった話やアキバ通り魔事件の話など。なんとなく取り止めのない内容。
あとは岡田氏の好きな海外のニュース映像のビデオやドキュメンタリーのDVDを、ツッコミを入りでみんなで観るとか。
- アーティスト: アン・ボーン,ケン・メイヤ
- 出版社/メーカー: アルバトロス
- 発売日: 2006/09/02
- メディア: DVD
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今回の白眉は後半でやった、映像を観ながらのアニメ解説。
一つ目は定番の「機動戦士ガンダム」。
シャアを、ニヒルでクールな「キャラ」ではなく、ちゃんとした人間としてとらえた場合の、彼の行動理由と実際の画面での演出に関する詳細な解説。
TVシリーズと劇場版の演出の違いで、なるほど印象が全然変わっているのだなあと感心。あとは我々が普段登場人物を「キャラ」として観てしまうことで、見逃してしまうものがいかにあるかに関して考えさせられた。
もう一つは宮崎駿の実験作「On Your Marks」。
確かに観たあとどこかモヤモヤする内容なのだけど、絵の内容や歌詞との連動など、こちらもほぼ全カットにしっくりくる説明をしてもらって大変満足。
岡田氏が宮崎監督の本気を見せられて感動したというだけあって、ちょっと観では気づかない要素もあったりして、それをいちいちちゃんと拾って解説するところはさすがプロの評論家。
どちらも共通するのは、その作品がキャラやビジュアルだけでも十分優れているために、それに込められた製作者の意図を完全に理解しないでも十分楽しめてしまうということか。しかしそれがきっちりと計算された演出によるものだという「分析」を楽しめると、作品の観方も変わってくるし、そのほうが絶対楽しい。
岡田氏の言う分析・評論の楽しみは理解出来るとほんとに面白い。
でもたしかにこういう形で本気で評論をやろうとすると、マンガ夜話では評論の方向に踏み込みきれないというのもわかる気がするな。こうして一人語りで話してもらえるとなるほどと納得できるけど、テレビではバラエティ番組として成立しなくなっぢゃうし。
なんよせよ岡田氏の語りの魅力は評論とエンタメが両立しているところだと思うなあ。まさに自称「物書き芸人」。
それにしても毎回思うけど、こんなにためになる内容(大阪芸大ならコマいくらなんだろう?)を毎回俺のようなぼんくらが飲みながら観てるのはほんとにもったいないなあ。
本人はやる気がないようだけど、ロフトプラスワンで映像を記録しているのだからちゃんと本やDVDにしてくれたら良いと思うのだけど。本気で遺言するなら、そのほうが絶対世の中の為になるってもんです。
岡田氏のトークを一回も観たことないひとは、試しにGyaoの番組を観れば良いですよ。こっちも面白ー。
http://www.gyao.jp/sityou/catelist/pac_id/pac0005453/
ところで帰りに駅前のセブンイレブンに寄ったらムゲンバインの新作が売ってて、財布の中に2000円あって足りてラッキーとか思ってたら、客のおっさんが「このATMって一度に50万おろせるの?」とか聞いてて格差社会に絶望した!