岡田斗司夫の遺言 第六章

4/6回聞きに行ってるイベント、今回が最終回。


話のマクラとして「オタクはすでに死んでいる」論争。あのタイトルは新潮社の人がつけたそうな。
「オタクが死んでいる」の部分に反論のある人は、自身が新しいオタクのオピニオンリーダーになるべきなのに、誰もそうしないのはカッコ悪い。頭のイイ人(東浩紀本田透の名前をあげてた)はこの問題には口を出していないという話。
なるほどと思うけど、ただしカッコ悪いかそうでないかの美意識や、オタクの定義は岡田氏の昔から持っている考えだし、仮に新しいオタキングが出てきてもだからどうしたになっちゃいそうな気も。(だから『死』なんですよと言われそう)


さて今回の内容は、
ガイナックスがゲームで当ててた時代に山賀博之の考えたアドベンチャーゲーム「ウィザード」、
押井守になりたい!という北久保弘之のために考えた押井っぽい企画「UFO」、
1〜4話の脚本完成のあと、着地点が決まっておらず悩む鶴巻監督&佐藤PDのために考えた「トップをねらえ!2」の「最終回のアイデア
の3つ。
どれも捨てるには惜しい面白い企画で、今回も興味深く聞けた。


それはそれで良かったのだけど、今回の話の締めが、
「知力・体力・金力のどれかが衰えたら65才くらいで自殺を考えている」という衝撃の告白。客席の空気もぐっと冷えたりして、なんかこっちはこっちで話題になりそうな気がするなあ。
なんでも日本社会を軟着陸させるには、65才で自殺する、というオプションを提示する内容の本を書こうと考えているそうな。
個人的には、日本を縮小させるしかないという思想には納得できるので、岡田氏は死なない方向でなんとか。娘さんは3年で説得されないようにがんばれ。


遺言シリーズや、去年からの岡田氏のトークイベントを毎回聞いてて感心するのは、岡田氏が作品を作るとき、受け手がどう思うかを考えて作るのはもちろん、娘が産まれてからは、受け手側の社会的影響を考えて作っているというところ。要するに「作り手の良識」の話なんだけど、それは今の作り手、メディアはどれだけ意識しているのだろうか?
それと氏が最近のブログでも書いてるけど、「人の役にたつ」という行動規範は、素直に良いなあと思える。


大阪芸大なら一コマ数千円の講義を毎回2千円で聞いてるような、大変お得かつためになるイベント。いつもありがとうございます。こうしてイベントでネタが「消費」されっぱなしなのがもったいない気持ち。(だからこそこんなうろ覚えで記事書いてるブログで広まるのを静観するんじゃなく、本人がちゃんと本にして欲しいと思うんだよな)
来月からの「寝言」シリーズも期待。