トランスフォーマー

公開してすぐに観に行くってことはそれなりに楽しみにしてたってことなんだけど、かーなーりガックリな出来。なんでネタバレありで。


ストーリー自体がシチュエーションのツギハギで全然繋がってないのはともかく、一番ダメなのは『肝心のロボットたちに全然個性が描かれていない』こと。映画で気に入ったロボの玩具を買おうと思ってたけど、好きになる以前の問題であった。
トランスフォーマーの魅力っていうのは、個性あるロボットが活躍するとこであって、単に変形ロボの見た目で人気があるわけじゃない。人間主人公の恋の行方とかほんっとどうでもいいから!


特に今回はファーストシリーズのリメイクということで、期待してたぶん落胆も大きい。
なにせ一番人間と近い(主人公のボディガードとして派遣された)はずのバンブルが「喋れない」という設定……アホか!
主人公と上手くコミュニケーションを取れないせいでTFの存在に気づかない、という『シナリオの都合』のためだけにそういう設定になってるのが見え見えで泣ける。ホントにそれだけの意味しかないから、ラストシーンではフツーに喋っちゃうという……今までのはなんだったのか。


他のキャラクターもほとんどセリフなし。スタースクリームだろうがジャズだろうが、人となりがわかるような内容のことは言わないし、性格もろくに描き分けられてない。だいたい味方同士でもろくに会話シーンがない。劇中で一番活躍してるのが玩具が店で売ってないフレンジーというのも泣ける(こいつも喋らない上に掛け合いはゼロ)。
肝心のロボ軍団の扱いがこんなんなのに、「More than Meets the eye」が主人公が女を口説くときのセリフに使われてるってのがもう。こんなリスペクト嬉しくもなんともないよ!


かといってメカ戦を楽しみに観ればいいかといえば、ロボは見た目がゴチャってるくせに寄りで撮ってるのでキャラの判別もつかない。パンフ読んでたら『大きいものが早く動いても近いと不自然にならないことに気づいた』って……そんなのは円谷英二が半世紀も前に通りすぎた道だッ!
終盤30分は市街戦で戦いっぱなしになるけど、戦況を見せるのが下手なので見た目と違って退屈な展開。そこに行くまでに、主人公がバンブルに気づくのに1時間、ディセプティコンの侵攻が始まるのにさらに1時間ってのもなあ。オリジナルのテンポの良さはどこへやら。


あと個人的に下ネタがボツボツ出てくるのも気になった。子ども向けだけに作ってないとはいえ、子ども向けの玩具が出てる&原作が玩具の作品なんだからそれくらい気づかうべきだろうに。
何度も書くけど主人公がラストシーンで彼女といちゃついてるシーンとか、ほんとどうでもいいから!オプティマスの独り言以外でオートボットの正義を見せてくれよ!



てな感じで、元のシリーズを好きなほど悲しい気持ちになる超大作。
スパイダーマンやスーパーマンX−MENみたいに原作ファンも納得できる作品が多い中、TFは完全にドリームワークスのモンスタームービーのネタの一つに使われただけって感じ。USゴジラみたいなものか。

俺たちがTFを愛したように、ベイ&スピルバーグもTFを愛してくれ!