オタク論!出版記念トークイベント

会場は120%とはいかないものの結構な混雑ぶり。
「創」編集長がいきなり朝日ニュースターでのみ放映されたという相撲界八百長疑惑スキャンダルを語る白鵬の愛人の映像を上映するヘンテコなスタート。出演者も客をヒいてたので早々に退場でイベント開始。


イベントは岡田・唐沢の個人でまずオタク論を語って、最後に二人の対談という構成。


岡田氏のトークは、今月のサイゾーをネタにオタクを世代論で語るのは結論が同じになるのでそろそろやめないか?という話。オタク論者分布図を書くのに自分を中心に書くのがカッコ悪い!と力説する岡田氏が印象的。
当の岡田氏はオタクを東海岸・西海岸・バイブルベルト(古いものに拘る旧型オタク、新しいもの至上の今風オタク、あまり考えないオタク文化全肯定オタク)で分けて語ってみせて、それが面白かったりするのがさすがだと思った。
それと言論は流通し発展しなければなんの意味もない、という話。これからの言論は「発句」である、という岡田氏の論。


続いて唐沢氏のトーク
唐沢氏はYouTubeをネタに、語るものが空っぽであるからこそ、そこに自分を盛り込んで語れるという、知的遊技の面白さを語る。SFドラマにいきなり出てくる人形アニメや、クレクレタコラが独裁者になる回のエピソードを上映して、作品の器と中身のギャップこそが面白い、というのはたとえばエヴァでも同じであり、それに気づかずに手放しで作品を称賛する東浩紀氏のようなオタク論者とは話が合わないという話。


そのあとはゲストの清谷氏の、次回の「創」に載ってるというフランスのジャパンエクスポの写真紹介。
8万人という規模やら輸出されている日本の漫画事情やらなんやらはともかく、メインイベントになっているコスプレが素晴らしい!
なんか名前に聞き覚えがあると思ったら、

Le OTAKU―フランスおたく事情

Le OTAKU―フランスおたく事情

の筆者の人だった。ううむ、やっぱりコスプレは向こうの人にかないませんなー。みんなほんまもんや!白人マンセー


休憩を挟んで後半は唐沢x岡田のいつものオタク論トーク


「オタク」はマイノリティとして世間の同調圧力に対抗する手段だったのに、今のオタクは逆に「世間」になってしまっている、という岡田氏。ブログなんかでも、論者に権威や絶対性を求めるのはファザーコンプレックスである、という話は興味深かった。だからこそボトムズを全部観てない、というカミングアウトがギャグとして成立してしまうのだなあ。
今の読者はもはや作品を追いかけるという「流れ」で作品を見てくれないからこそYouTubeなんかで過去の作品を再発見する面白さがあると説く唐沢氏も、従来の主張どおりという感じ。


あと過去のオタクは濃いコミュニティを作り、語る必要があったけど、今ではブログで語ったり、作品を語るより現物をURLで送れば見せられるようになっているので、昔のようなつきあい方をする必要がなくなったというのがオタクイズデッドの簡単な説明として成立しているなあと思った。


二人とも従来どおりのマイノリティ強者オタクであり、その面白さは健在。
こうして生で聞くと、二人とも自分がオタクとして語っているもののチープさ(ヤマトであったりカリメロであったり)を自覚して、その上でそれを面白く語ってみせる『芸』というスタイルが共通しているわけで、だからこそ『本気』(でアニメやゲームを語る)のオタク論者に叩かれるし、意見が合わないというわけだ。(DAICONフィルムのときに、スタジオぬえの人に実力があるなら「プロとしての責任を果たせ」と怒られたのが効いた、という話も出てた)
もちろん二人にも『本気』の領域(SFだったり、古書だったり)はあるわけで、でもそっちはアニメやゲームのようなマスではないため叩かれないし衝突もしないんだよな。
それにしても氷川竜介氏の表に出ないという暗黒面が気になるわー。


その他にも盛り沢山でオタク論!の書籍と同じく刺激が多くて面白い内容だった。
おまけ。
しょこたんはブログとかで読んでる限りはビジュアルと性格がバラで読み手に認識されるからオタクの理想の彼女みたいに受け入れられているけど、実際会うとやはり痛くてヒいちゃうらしいぞ!
・オタクには有名な外人セバスチャンは今は結婚して日本在住、行徳の牛丼屋でバイトしながら声優を目指しているらしいぞ!なんかスゲー!


このイベントだけに終わらせるのは勿体ない内容だったけど、「創」に収録されるのだろーか。または岡田氏の同人誌に載せてくれないかなあ。


当日の唐沢氏の日記。
http://www.tobunken.com/diary/diary20070802124523.html