「エロマンガ is Dead(or Alive)special issue 2007」

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

ロフトプラスワン行ってキター。
第1部は永山薫伊藤剛東浩紀小谷真理というメンツ。
帯の推薦文メンバーだけど来れなかったメンツは仕事だったり入院してたり。とはいえ、全員来てたらとてもまとまらなかったんじゃなかろーか。竹熊健太郎斎藤環の両氏はメッセージでの参加。「私ならエロマンガの歴史改竄の誘惑に勝てなかったでしょう」って斎藤先生のメッセージがややウケ。
「この本はエロゲやアニメでのことを書いただけだ」とネットで永山を批判している人がいるけど、これは時代が永山に追いついただけで、順序が逆になってる、という東の言には納得。たしかにフツーにエロマンガやらエロゲやらをやってる人には既知の部分も多かったりするし、自分もそういう感想を持ってたので。
でもエロマンガを読みつけない人には格好のガイドブックであることは間違いないし、夏目房之介もそっち方面に全然明るくなくて、それで知り合ったというのもそうかもなーと思う。イタリアには輸入した日本のエロマンガの消された性器を詳細にレタッチする職人がいる、というのはちょっとしたトリビア
性器の記号論の話が出たりすると岸田秀性的唯幻論序説 (文春新書)を思い出した。


総じて東先生がビールとモスコミュールをガパガパ飲みつつヒートアップしてて、さながら網状言論メンバーの同窓会の体。結果的に永山氏よりよほどしゃべってたような。メンツがメンツだけにこの本の文化的な立ち位置の話がメインになってたけど、お互いが知り合ったきっかけとか、永山氏の経歴を聞き出したりして、内輪受け的な内容も結構あった。論壇や雑誌関係に詳しい人は面白かったのかもしれん。
30分ほど延長して休憩。


第2部はエロマンガトーク
ゲストは永山薫山本夜羽音、ダーティ・松本、環望町田ひらく、芝田隆広という面々でエロマンガの歴史を語る。
こっちはこっちで第1部とはガラリと変わった内容で、本の内容よりエロマンガ界の現状報告みたいな感じ。コンビニ本のパッケージシールは業界イジメであるとか、規制のあとのエロマンガバブルのときの話など。
規制があったときに行方不明や自殺した漫画家の話なんかのわりとシビアな話も。その一方で性転換したエロ漫画家がいたり、内山亜紀の実家の店の有名マンガ家のサインがみんな模写であるとかはちょっとイイ話。
男が少女マンガを読んでもおかしくない時代を経て……というあたりは本の内容とリンクしてた。全てのミームエロマンガに流れていくのだな。
質疑応答はあったけど、第1部が押してたせいか時間が足りなくて、もうちょっと深い話が聞きたかったなあ。あと若いメンバーと年長メンバーであまり意見の交流がなかったのがちょっと物足りなかった。


ということで22時半までのみっちりトーク。予定ではオールナイトだったけど、平日なのでこれくらいでちょうど良かったのかな。
本はエロマンガを読み慣れない人には新鮮で深く、読み慣れてる人にも新しい発見があるので未読の方は是非。
本にサインをもらったのだけど、書いてるとき永山氏が「あっ、パクッちゃった」と言ってたのはこれだったのね。当人がゲストで来てたことを考えるとちょっと面白。

エロ魂!―私説エロマンガ・エロ劇画激闘史 (第1巻)

エロ魂!―私説エロマンガ・エロ劇画激闘史 (第1巻)

ちなみに永山・東・伊藤・山本といった今夜のメンバーはみんなはてなダイアラーだったりして。検索してみよう!


ところで今年もオタク大賞やるのねー。やっぱり去年は亡くなった人が多かったせいだろうか。そして9日にやる「40年代を語る会発足プレイベント」が気になる。半田健人唐沢俊一という組み合わせは、なるほどナーという気もするネ。