仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE

こりゃあDC版を待ったほうが良いかもねー。
クロックアップの描写なんか「どうでもいいことだ!」


平成ライダーで一番ダメでした。残念!
完全に世界観の説明不足。隕石で海が干上がってワームが発生して、そこまではいいけどあの世界でのZECTの立場・権力がよくわからない。水を配ってる描写はあるけど市民が水に困っているような描写がない*1のがちぐはぐだし、そもそもメインメンバー以外の市民の描写がほとんどなかったりして。ワームの脅威はみんな知ってるのかな。ZECTは秘密組織なの?軌道エレベータ作ってるのに?
ネオZECTは自由を求めてZECTと対立している、とあるけど別にZECTが自由を制限している描写はないし、ネオZECTが世界を支配した後のビジョンがあるわけでもないので、こっちもなんだかよくわからん組織になってる。


所属する組織が何をしたいんだかよくわからないせいもあり、各キャラクターの行動理由がはっきりしないまま*2話が進むので、最後まで気持ちが悪いままだったなあ。個人的にはキャラが何をしたいのか?さえ見えれば悪とか正義とか関係なく楽しめる(=キャラの正義:たとえば龍騎ライダー)のだけど、それが見えないせいで辛かった。よく書いてるけどキャラクターの存在理由そのものがキャラの魅力とイコールだと思うんだよね。そのへんが井上脚本キャラの巧い/良いところなんだけど、今回のを観るとそれを再確認。


特に今回はワームが完全に空気だったせいで、壮大なスケールを協調した宣伝とは逆にライダー同士が小競り合いを繰り返すばかりのすごくスケールの小さい話になってるとこがマズイ。
前提としての説明が足りないからなにが起ころうと誰がどんな行動をとろうと、それの何が意外なのかがこっちに伝わってこなかったところが最大の問題だと思う。
ストーリーラインにしても、ひよりの話のラインとZECT抗争の話のラインもうまくかみ合ってないような気がするのよね。ラストが良かったってのも前半の積み重ねとは無関係だったりするし。やっぱ巨匠は水があるほうがイキイキするねーとか書いてみるテスト。*3


せめてこれくらいは、と思う戦闘も魅力ないんだよな……。新ライダーはスペックどおりに必殺技はないし、バイクにも乗らないし、ファーストインパクトたるべきライダーバトルはまわりになんにもない砂漠でのボコりあい。ウリのはずの宇宙戦は狭いセットでのボコりあいで全然アクションの魅力が感じられなかった。パワーアップ→ラストバトルの流れもちょっと主人公らしからんなあ。
このあたり商品的にまずくね?


30分カットになったらしいから、それが復活すればシナリオ的に印象が変わるのかもしれんけど、それでも世界観のちぐはぐさとキャラの魅力という点ではいかんともしがたい気がするな。
全編シリアスシーンなこともあって、お子さまにオススメできない作品になっちゃってると思う。「ハイパーカブトかっこいー」と言ってくれたちびっこがいたのが救いか。




池袋の映画館(音響・規模的にイマイチ)で観たのでそのままサンシャインへGO!

*1:場所の描写がとにかく混乱を招く。海が砂漠になってるなら、水のない港を見せて欲しかった……。もうどこがどこやら

*2:天道は謎、大和は忠実、矢車は策士、という話ではなくて

*3:人間ってツボさえ押せば泣けちゃう生き物なので、「泣ける」ってのは映画そのものの評価とはまた別だと思う。その「泣ける」が映画そのものの全てと言っていい映画ならともかく