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>korohitiさん
>理想的独裁
うーん、思想面で悪、というのはよくよく考えていくと実はどの番組でも難しいですね……。世界征服とはなんなのか、なぜ悪いのか。思想だけを詰めていくと正義なんてどこにもなくなっちゃうから、たいていはその『やりかた』だけを問題にすることで悪を規定しているわけですが。
平成ライダーが悪=『殺人』と限定してるのも、リアリズム志向でいくとどうしてもこれ以上は踏み込めないのかも。小説版やTHE FIRSTの仮面ライダーにおけるショッカーはなぜ悪なのか?がピンと来なかったのと一緒です。
特撮に限らず昭和の作品は大人向けでも今ほど世界が複雑化していなかったわけで、今のリアルを考えていくと大変ですね。まあ視聴者はたいていそこまで考えて観ないですが、そこをどう言いくるめるか?*1というのがオタクの意地悪な楽しみかたなのかも。


>自由
日本人の考える自由、というテーマはなかなか面白いですね。士農工商を越えることが自由、というわけでもないし、日本人の考える自由ってなんなのか。korohitiさんの書いているとおり日本人は自由にそれほど価値を置いていない。義理人情や恥に重きを置いていると思います。なので昔からある日本のヒーロー(古事記とか民話とか?)は自由のために戦っているのか?というとちょっと違うような気がしますね。


一神教キリスト教イスラム教・ユダヤ教は、自然が厳しい国の発祥であり、規律=正義を皆が守らなければ生きていけないから、正義(規律)>自由の価値観が根本にある。対して日本は隣近所と仲良くしていれば食うには困らないから、正義の価値はたいしたことがなく、義理人情が重んじられるってところでしょうか。なので日本は多神教だから自由の価値が違う、というのとはちと違うかと。このへんは山本七平の受け売りなので、「日本人とユダヤ人 (角川oneテーマ21 (A-32))」を読むと参考になると思います。


それよりも日本は戦争があったので『正義』に関して素直に信用出来なくなった、というのもあるかもしれません。それこそ昭和特撮で活躍してた佐々木守氏が『正義』を信用してない人*2なので、昭和特撮作品全体に正義を疑うようなセンスが広がったのも無理はないし、日本のヒーロー特撮作品はその流れで現在まで来ちゃってるような気がします。
なもんで『正義』をわざわざキャッチコピーに使ってるカブトの先行きが気になりますねー。今は特撮旗本退屈男でいいですけど、後半に向けて思想的なことも入ってくるのかな?


ここから余談。
アメリカのいう自由、ていうのもただの押しつけなのですが日本人はそれにやたら順応しているので気がつかなくなってるし、今はそれでいいと思ってます。
アメリカは自由のために戦ってる、と言っても自国内の戦争からして実は経済が原因なのは独立戦争(税金)も南北戦争(工業革命)も一緒なんですよね。自由のために戦う、という『建前』を日本人は必要以上に馬鹿正直に信じすぎたところがあるような気がします。自由のための戦いというなら60年前も100年前も日本人は確かに自由のために戦っていたのに、そこに誇りを持てないのは寂しいですね……。


>oujarx さん
日本人だから協調に惹かれる、というのは結構当たってると思いますねー。外国なんてもっと小狡くて喧嘩っ早いわけだし。そういう意味ではたっくんの言うのは正論であると同時に、ストレートかつ挑戦的なことを言ってますよね。「人間の性格なんてそんなに簡単に変わるものじゃないのね」だしw
そういうことを直球で言われたからこそこうしてモヤモヤと考えたくなっちゃうのかも。
korohitiさんが書いているとおり、今まで劇中でそういうことをセリフとして出さなかったというのはやっぱり計算なんだろうなー。セリフよりも行動で示す、っていうのがセイザーXの良いところですね。
思想の違いをどつきあいで表すと平成ライダーになりますけど、その役を巧く敵側に割り振れたのも(というか当たり前なんだけど)スッキリ見られる原因なんでしょうね。中盤以降はブレアードとジャッカルが主役でしたし。やっぱりセイザーXは隠れた名作というポジションになっちゃうのかな?

*1:岡田斗司夫が心配しているのはベルセルクのゴッドハンドたち。世界を征服してどうするの?という問題

*2:仮面ライダーが「自由」のために戦う、というのはこの人の提案