ヒーロー神髄

ヒーロー神髄

ヒーロー神髄

宮内洋が役者生活について語った本。
個性的なヒーローをいくつもやってきた宮内氏が、どういうふうに役作りをしたのか、アクションの秘密は何か、というのが読めてなかなか面白い。全ページ上半分が写真で、下半分が文章という構成で、写真が豊富なのもポイント。


先週セイザーXの殺陣がすごいんだけどわかりにくいという話を書いたのだけど、それに関連してここにちょっと面白い話が書いてあったので紹介。

だから、千葉先輩(千葉真一)の様にカメラのトリックが解っている方の蹴りというのは、足がビューンと伸びて見える。私のは空手の蹴りそのままだから伸びない。実戦用の蹴りだから、伸ばせばそれは必ず相手に当たってしまうのだ。だから殴るのでも「パカーン」で終わってしまって、それでは迫力が足りない。思いっきり引いた「パッカーン」という感じが必要で、レンズのトリックが解っていればいくらでもそう見せることができるのである。
(略)
走り方にしても同じような工夫というものがあって、それを私は「八の字」と読んでいる。もし実際に走ったなら、マラソン選手や短距離選手のほうが速い。短距離選手なんかの走り方は、より風の抵抗を少なくする走り方だが、そんなのを撮影でやっても、カメラを通すと面白くもなんともなくなってしまうのだ。より一生懸命に、より危険の中を走っている感じをだすのが「八の字」なのである。


みたいな感じで、やはり実戦の動きとカメラを通した芝居の動きというのは別物なのですね。
グランセイザーのときに、ミトラス役の人は実際に拳法の有段者なのだけど、TVでは速すぎてよくわからないからわざとキックを遅めにしている、とインタビューで答えてたのを読んで、それなら別に拳法の有段者をキャスティングする意味はないじゃんと思った覚えがある。東宝はこれ以前にリアルなアクションを目指してカットを割らない殺陣を見せて失敗したガイファードという作品をやっていて、こういうアクションのリアル指向はもしかしたら東宝の傾向なのかもしれない。

役者は役を演じるのが本業なので、アクションが苦手ならそれはスタントマンにまかせてしまえばいいのである。私はアクションが得意だったからやったに過ぎない。その代わり「アクションができる」ということも立派な役者のウリになるので、私がアクションを演じる場面では「宮内洋がやっていること」がはっきりと解るような画面を撮影してもらった。

ということも書いてあったり。やっぱり役者と演技、アクション、スタントはまた別ということなのかな。
スカイシアターで飛び込みやる役者さんはすごいよね。生のアクションを観ていると、やられる役の人の動きがすごく大事ということに気がつくので、注意して観ると面白いよん。


別に超星神シリーズのアクションがダメと言いたいわけじゃないし、なんか微妙にズレた話を書いてしまってるけど、超星神シリーズは戦隊シリーズなんかと比べるとアクションも特撮もある意味すごく真面目なんだよなあ。それが味でもあり、弱点でもある。
いくつも特撮作品を観ながら、ドリームスタッフを集めた作品を妄想するのもファンの楽しみですな。ああ、オタク……。