キング・コング

スゲー!俺も大絶賛。筋はみんな知ってるだろうしバレナシで。


1930年のニューヨークの完璧なビジュアルにまず打ちのめされつつ、髑髏島に着いて、巨大な遺跡にゴオッと火が灯るあたりでもう十分にお腹いっぱい感があるというのに、それ以上の強烈なショットがつるべ打ちでガンガン来るという、特撮ファンは北京ダック状態にさせられる映画。

笑っちゃうくらいに次々にピンチが訪れる展開はギャグかと思うくらいで、それが手を替え品を替えで来るのだけど、さすがに脚本を何度も直しただけあってスリル満点の魅力的なシチュエーションばかり。それがきちんとビジュアルで表現されているのがイイ。
アクションはハデだけど血がほとんど見えないのも上品な感じ。これがプール一杯の血糊を使ったと言われる「ブレインデッド」を撮った監督作品なのか!?というくらい。


もちろん特撮パートだけじゃなくドラマのほうもしっかりしていて、結末は判っているのに心に訴えてくるのは、その内容に普遍性があるのと、単純なCGの表現にとどまらないコングの演技があるせいだろう。微妙な表情の表現にはうならされるし、ヒロインとの心の交流もすごく丁寧で、獰猛かつチャーミングな魅力に満ちている。


なんといっても日本人以上(!)にケレンが判ってるピーター・ジャクソン監督の演出は、日本人の肌にあうんじゃなかろーか。17年も温めてただけあって、画面から愛がひしひしと伝わってくる感じがする。やっぱり愛だよな愛!


そういえば日本の特撮の神様・円谷英二氏も33年版のキングコングに衝撃を受けて、常にフィルムの切れ端を持ち歩いていたというのはマニアなら知っておくトリビア。リメイク版は観たことあるけど、オリジナル版も観ておくべきかな……。
とりあえず小説版が手に入ったので先にこっちを読むよ。

キング・コング (ハヤカワ文庫NV)

キング・コング (ハヤカワ文庫NV)


にしても18時の回に観に行ったのに客が10人くらいしかいなくてちょっと残念。お正月休みにはもっと人が増えるといいなあ。吹き替え版のせいか?ビジュアルを楽しみたい映画でちんたら字幕なんて追ってられないし、字幕を読むために後のほうの席で観るなんて本末転倒だぜっ!


この特撮を担当しているウェタ社の次の仕事はエヴァンゲリオンだそうな。うーん、楽しみ!