【仮面ライダー響鬼】四十二之巻『猛る妖魔』

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ツッコミどころはそれなりにわかるけど、そもそもあの姉妹とおやっさんじゃたちばなはオペレーションセンターには使えないよなあ。メンテルームと会議室しかないし。関東支部という割にはもとからあの3人しか出入りしてないし。実は昭和ライダーおやっさんとサポートのレベルが変わらないような気がしないでもない。


いや、それ以前に鬼戦士じゃない猛士の人の描写って、ザンキの医者以外明言されてないよーな気がしてきた。いつものプールやバイク練習場のオーナーが猛士って描写いれとけば、サポーターの存在に説得力があったのに。(城南のブラバンの先生を!)
そもそも肝心の吉野は画面に一回も出てきてないし。簡単なセットでいいから本部を作っておけばなあ。子供は猛士のボスが吉野さんて人だと思ってるんじゃ?


最終回で、

明日夢くん、本当に君は猛士なんて組織があると思っていたのかね?」
「え……?」
「周りをよく見たまえ」
バタン!バタン!書き割りの壁が次々に倒れる。そこは、スタジオの中。たちばなのセットが次々に解体されていく。
「これは……!おやっさん、いったいどういうことなんですか!」
「見ての通りだよ。これは芝居だ」
気がつけば『仮面』をとった細川が栩原の横に立っている。ステージのカーテンの蔭に、着ぐるみの魔化魍が打ち捨てられていた。

となったら神。つーかエヴァ。乃至はホーリーマウンテン。


ところで世界中で怪獣が暴れ出す展開が響鬼とネクサスで似てるよなーと思ったのだけど、最終決戦前のピンチの盛り上げでは響鬼のほうが勝ってると思う。というのも、少なくとも響鬼はビジュアルでそのピンチを表現出来ているからだ。(さそり座?フーンだったアギトのときの反省なのだろうか?)
ネクサス最終回で、オペレーションセンターの報告だけで世界のピンチを伝えるのは予算と時間を考えればわかるけど、さすがに苦しいと思ってたので。ザギが一体で暴れてても、いつもの怪獣と変わらないのよね。


ぶっちゃけこういうのが見たかった。

ケニヤの平原。昼寝をしていた牛飼いの男の上に影が落ちる。
目を覚ます男。
「もう夜か……?」
空が黒い。それじっと見る男。空がうねうねと蠢く。雲……いや、あれは!
「ば、化け物だ!」
空を埋めつくすペドレオンの群れ。太陽を覆い尽くし、地上に光は届かない。
叫び声に気づいた一体が向きを変え、男に襲いかかってくる。
触手に捕えられ絶叫する男。ペドレオンの真っ赤な口がガバリと開く。暗転。


香港。
にぎやかな歓楽街。酔った男がふいっと空を見上げる。
そこには異次元から実体化していくゴルゴレムの姿。
ズズン!完全に実体化したゴルゴレムの足音が響く。
逃げる人々。地鳴りでバランスを崩し、悲鳴を上げて転がる男。その身体の上に、容赦なく巨大な足が落ちてくる。ズズン!
「ギー!」
大音声で窓ガラスを震わせ、粉々に割るゴルゴレムの咆哮。それに応えて、次々と実体化していくゴルゴレムの群れ。


ハワイ。
観光客で賑わうビーチ。
サーフィンを楽しむ若者。波がどんどん高くなっていく。高く、高く……。
今までに体験したことのない巨大な波に興奮する若者。
それを見ている若者の恋人が、浜辺で叫んでいる。
自らの勇気を鼓舞するため叫ぶ若者。しかし恋人の様子がおかしい。後を振り向いた若者が最後に見たのは、海水をイオン化させ、海を割って現れた巨大なメガフラシ。その身体がドリルのように回転する。マッハを越える回転の衝撃波で、若者の身体も、浜辺にいた観光客たちも一瞬にして消し飛ぶ。津波は海岸の町を完全に壊滅させた。
1体ではない。次々とメガフラシが海中から浮上していく。すでに人の死に絶えた廃墟から、人の多い都市へと飛び去って行くメガフラシたち。


スイス。
地上の恐怖から逃れ、地下の防空壕に逃げていく人々。
隅に一人の女性がうずくまっている。そのただならぬ様子に、一人の婦人が声をかける。
「大丈夫?あなた、先月こちらに越してきた方でしょう?留学生の……」
「……………………」
ゆっくりと女性が顔を上げる。その瞳。黒く昏い瞳には、なにも写っていなかった。まるで人形のように。
「リコさん?どうしたの……!?」
突如として女性の身体が闇に包まれる。それが晴れたとき、そこには黒い眼をした怪人が居た。
「キャアアアアアアー!」
絶叫する婦人。ダークファウストは怪光線で入り口をふさぐと、シェルターの中逃げられない人々をゆっくりと皆殺しにした。


オペレーションセンターに次々と世界各地からの報告が入る。

ここまでしなくても、単純に今までの映像をうまく編集でつなげてセリフかぶせるだけでもなんとかなったと思うんだよね。止め絵でもいいし。やっぱり特撮作品は絵で見せなくっちゃと思う次第。絵がなくて良いならこういうのでいーのです。
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つーかネクサスは思い切って等身大ヒーローで、特別なときだけ巨大化っていう話にしたほうがよっぽどまとまりのある内容になったと思う。まあ巨大ヒーローにしないと予算が下りないのかもしれないけど。


あとノアとネクサスが違う存在のほうが良かったとかザギの設定がイヤとかあるんだけど、これはネクサスファンというよりウルフェスを観に行った人にしか共有出来ない感覚なのかもしれん。トホホ。

レーテ。忘却の海と呼ばれる地底湖に浮かぶ異形の建造物。
その前に立つ和倉隊長と松永管理官。
「これは……!?」
「和倉君、君には何に見える?」
「船……いや、柩のようにも見えます」
「フフ。当たらずとも遠からず、といったところか。この写真を見たまえ。この『方舟』の内部をスキャンしたものだ」
「これは……ウルトラマン!?いや、違う……翼?」
「星の海を越え地上に打ち上げられた方舟。その中で眠る巨人。我々は、聖書になぞらえて、『ノア』と呼んでいる」
「ノア……ウルトラマンノア……ですか。こんなものが……」
「TLTの技術、そしてスペースビーストに関する知識はこの巨人の脳波を解析して得られたものだ。まさに我々にとっての預言者だよ」

俺ネクサスー。


まあなんだかんだいっても、設定よりも面白さ優先でいくのがプロなのだろうな。

 私はいつも言っている。
「理詰めのアイデアは素人さんでも思いつく。プロは理屈では考えられないような理不尽なアイデアを考え出さねばならない」
 もっとも、21分数秒の短い時間にドラマもアクションも入れて視聴者をカッコ良いと満足させなければならない。なるべく説明の要らない物でなければモタモタした作品になってしまうから難しいのだ。
(略)
 映画なんて物は、理屈は誰でもいえる。
 理屈の言い合いになると、面白いかどうかは二の次になり、理屈合わせだけになる危険性がある。

仮面ライダー名人列伝―子供番組に奇蹟を生んだ男たち (平山亨叢書)