ウルトラマンマックス

シリアスな前回と違って今回はギャグ編。
なのだけどなんとなく後味が悪いのは化け猫3体に明確な悪意を感じなかったせいと、人間側のシリアスな被害が描かれていないのに怪獣を倒してしまうせいか。
シナリオ上ではDASH基地を襲おうとしたのかもしれないけど、怪獣のファンシーなディティールを強調するばかりで全然そうは見えなかったしなあ。本当はただ単に海の魚が食べたくて移動してただけかもしれないなーとも思うわけで。前回の話と放映順を逆にしたほうが良かったような気がする。

もし3猫たちが自分が意図しなくても存在するだけで周囲の人間の記憶が失われていく、というキャラなら前回以上のシリアス編になりえるし、記憶が失われる恐怖を中心に敵側の悪意を描写していけば前半ギャグ・後半狂気の傑作になったかもしれないのに。結局DASHメンバーとマックスのドタバタばかりに終始してしまってて、せっかくの魅力的なアイデアだったのになんだか惜しい気がする。


ちなみに前回の話はあざとすぎてダメでした。あらすじだけで観た気になって感想書けちゃうじゃんみたいな。
即決即断はDASHの超科学だから大丈夫とはいえ、あのテンポでは視聴者にはギャグに見えてしまうので、調査中に少女と知り合って……みたいなテンポのほうが良かったような。
ウルトラ史に残る傑作と持ち上げる人もいるけど、実はウルトラマンが存在しなくても成立しちゃう話なんだよね。


前回にしろ今回にしろ、こういう話を観ると、怪獣は異界であるがゆえに排除される、という白倉PDの考察は傾聴に値すると思う。
ヒーローと正義 (寺子屋新書)
読み直してみたら興味深い記述。

 たとえば、ドラマに<車椅子の少女>という人物を登場させるとしよう。
 彼女が悪い子なら、「車椅子の人間を悪く描いている」と傷つく人がいる。どうでもいい存在なら「登場人物を無意味に車椅子に乗せている」と傷つく人がいる。だれかの足を踏んでしまうのである。だから彼女はいい子でなければならず、かつ、重要な役回りでなければならない。
(略)
したがって、彼女が車椅子に乗って劇中に現れた瞬間に、彼女のキャラクターと、ドラマのストーリーが自動的に決定する。


ただどっちの回もビジュアル的には満足。アニメでも特撮でも奥行きのある映像が魅力的に見えるのは、個人的趣味もあるけどテレビが2次元映像しか見せられないだからだと思う。