劇場版 鋼の錬金術師

これを観に行ってきたんですけど。
全てが段取りの映画。エドを元の世界に戻すために両方の世界で門を開くのだけど、その手続きで映画の8割を費やしていて、おそらく予告を観てテレビ版のファンが期待している「鋼の兄弟がふたつの世界で丁々発止の大冒険大バトル!」みたいのは あ り ま せ ん。


とにかくシナリオが、すべての登場人物に決着をつけさせるというためだけに作られたような感じで、余韻を感じさせるテレビの最終回の完成度からすると蛇足感アリアリなんだよな。
そのせいで、テレビのほうでもあった戦争や差別といったテーマや敵の組織の行動理由、新キャラも取ってつけ感が否めない。テレビ版で積み重ねてきた設定と第2次世界大戦前のドイツという舞台設定のアイデアに縛られたせいで失敗してしまったという印象。一応テレビのキャラを全部出しているのは偉いけど。


もっとも映画版の話はテレビの中盤あたりからあったらしく、テレビの最終回はこの劇場版のシナリオを前提とした内容だったわけで、そう考えるとちょっと複雑な気分。
劇場版は初めはオールキャストを出すために時間軸をかなり前にする予定もあったそうなので、そっちだったらアクション番外編みたいのが観れたのかもしれん。おしいなあ。


それにしてもこれだけメディアミックスしてしまうと原作の漫画のほうは大変だなあと思う。滅多なこと描けなくなっちゃいそうだよね……。