Ａ２ - kasindouの○記

森達也監督の「Ａ」の続編。
シーンごとにちゃんとテロップが出るようになったおかげで前作よりずっとわかりやすくなった。

今回はマスコミでなく反対運動をしてる住人とオウム信者の関係に焦点が当てられている。こちらも報道では流れない現場の真実が描かれており興味深い。監視小屋を信者と住民共同で解体したり談笑したり記念写真撮ったりなんて絶対にマスコミにはでてこない風景。反オウムで団結する事で地域住民の一体感が出来たと感謝されるほどだ。

住民側がオウムの犯罪自体は許さないにしろ、各個人を知ることでお互いを理解していく光景は作り物でない感動がある。監視はやめたのに心配でちょくちょく様子を見に来てくれるおじさんの様子を見て目頭が熱くなってしまった…。まさに森監督のつけたかった副題の通り「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」(ISBN:4794965672)だ。
これをストックホルム症候群と切って捨てるのはあまりにも悲しすぎる。

今夏の白装束集団をめぐる報道もそうだけど大衆の求めるものはたいして変わらないのだな…。中国人留学生をなんでも一緒と見て苛めるのも日本料理店を破壊するのもみんなラベリングの罪だろう。正義病はどうしたら治るのか。
人と人とのディスコミュニケーションは歴史の永遠の課題だけどもうちょっといい方向で折り合いをつける方法が将来見つかるといいのにな…。